新宿中央公園。東京都庁の隣りに位置する都会人の憩いの場である。
 涼は、 大都会のラビリンス・新宿駅から歩いて都庁を通り過ぎ、新宿公園へと足を運んだ。しかし、ここもまた涼の好む場所ではなかった。人が多いといえば多いのだが、多いのは観光客というよりは地元の子供たちなのである。児童遊園地では子供たちが走り回り、その周りのベンチには、子供の親たちが我が子を見守っている。テニスをする者もいればキャッチボールをする者もいる。そして、
「ここはキャッチボールは禁止ですよ」
と注意をする係員もいる。
 おそらく名所であろう公園正面の滝の前では、ジャグラーならばやりやすそうな場所のようにも見えたが、そこで遊んでいるのはスケボー少年ばかり。小中学生のように見受けられるが、しかし、スケボーの練習中にマジックを見るかというと、それもまた考えにくいところだ。
 涼は、新宿中央公園をぐるりと1周回り、ここではないと判断して、今日もまた代々木公園へと移動した。新宿公園から代々木公園までは直通のバスがあったのが幸いだった。

 どうしても頼みの綱は代々木公園になってしまう。行けば安心してパフォーマンスができるし、チップも安定して期待できる。この日も10000円ほどのチップを得ることができた。しかし、新しい場所を開拓したい涼にとっては、1か所だけに頼るのには心配があるのだ。札幌の大通公園でのこともあったからだ。

 涼がパフォーマンスができる場所かどうか、それは行ってみなければわからない。しかし、今まで成功した場所には共通点があったことに涼は気付いた。それが噴水広場だ。ロンドンのトラファルガー広場とレセスター広場。札幌大通り公園。そして代々木公園。いずれも噴水広場で、涼は成功しているのだ。噴水の縁に座っている観光客が、涼にとって良い観客であり、観客にとってもまた良いパフォーマンスだと判断されていることになるだろう。

 噴水が無ければ開拓しないわけではないが、噴水というものに、大きな期待が寄せられるのもまた事実である。

 


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