雨天。パフォーマンスはできなかったが、涼はこの日博多駅に偵察に来ていた。博多駅は人通りが多く、福岡の中でもその人口密度はトップクラスである。しかし、だからパフォーマンスができるかと言うと、そういうことではない。
  とはいえ、聞くところによると、夜になればパフォーマーがいることもあるという。駅の利用者が少し減る時間になればちょうど良い場所になるということなのだろう。
  だが、今回の偵察は、そういうことではなく、クリスマスムードがどのようなものかを調査しに来ていた。他のパフォーマーがどう、ということとは無関係に、涼のパフォーマンスはカードが見えなければ成立しない。クリスマス用のライトアップがどの程度か、というのが涼にとっては重要なことだった。
  日が暮れて行ってみると、駅前はよくライトアップがなされていた。


  雨天でなければ、ツリーの下に行けばカードが見えるような気もする。また、待ち合わせ人はライトの下に集まりそうな気もする。何ら確定的なものではないが、チャンスは増えるということである。


  一方で、クリスマスマーケットというイベントも行われていた。


  マーケットでは特設ステージやテーブルが準備され、催し物を見ながら飲食をする人々も多い。
涼がここで演じることができるというわけではないが、チャンスが広がるのは確かだろう。

  



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