数日前のことだが、涼のもとに『GainShare』というところからメッセージが届いた。収益自動増加サービス、とメッセージには書いてあった。
「ん?どういうことだろう」
 不審に思いながらも、涼はメッセージに目を通す。どうやら、広告収入を登録者で分配して、PVの多い時も少ない時も、一定の収入にしようという提案のようだった。
「ははぁ。なるほど」
 しかし、涼は今のところ、広告収入は1円も得ていない。今の段階で広告収入登録したところで、大した利益にもならないだろうと涼は思っているし、大した利益にならないことのために、読者に広告のストレスをかけるのも気が引ける。
「まあ、読者が増えれば少しは考えるかもしれないけど」
 零細ブログなのだから、収益を考えるほどのこともないだろう、と涼は思っているのだ。
 広告を載せることにも消極的であるし、仮に載せても大した収益は出ないであろうし。その状態でGainShare登録したところで、涼の読者にも、他のブロガーにも、誰にも利がない。逆に、たくさんの読者を抱えるブログの管理者の立場からすると、涼のような零細ブログに利益を吸われることも、好ましくはないことだろう。だいいち、広告収入を安定させたいという思いは涼にはない。多い月があれば少ない月もある。そういう状況だとしても、何も構わないと思っているのだ。そもそも、利益は1円もないのだから、ある意味、完璧に安定している。常に0であり、1円の誤差も出ない。
 結局、涼はGainShareの登録依頼をスルーした。
「信用できるかどうかもわからないし」
 信用できるかどうかもわからなければ、信用できたとしても利益にならない。
「ま。やるわけないか」



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