考えてみれば、中高生には売れない小説だったんだ、と涼は思った。Amazon販売であるのだから、ほぼ確実にクレジットカードが必要とされる。Amazonアカウントも必要であるし、Kindleアカウントも必要で、もっと言うと、自分用のスマホかタブレットかパソコンが必要だ。スマホやパソコンは、今のご時世なら中学生でも持っているかもしれないが、クレジットカードを持っていることはないだろう。現金で買えない商品なのだから、売れなくて当たり前なのだ。無料サンプルさえ読むことができない。
 ここ数回のパフォーマンスで、涼の観客の未成年率は、涼の手応えでは8割ほど。パフォーマンスの対象と、小説の対象が違うのだと、涼は今になって気付いた。 
「そうか。だからか」
 それだけではないかもしれないが、戦略として上手くいっていないのは確かだろう。 
「別の作戦を考えねば」
 涼はまた頭を悩ませる。



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