シドニーに遠征する期日が迫ってきていた。
「しまった!出版関係のことばかりじゃダメだった!」
 涼はまだ、あまり準備を進めていなかった。調査もほとんどしていなければ、英語の勉強などは全くしていない。しかし、
「まぁ、ヨーロッパのときと同じと思えばいいんだろう」
と、わりと楽観的だ。
「しかも、今回は1ヶ国で1都市のつもりだし」
 6ヶ国7都市を動き回ったヨーロッパ遠征よりも、ずっと気楽なものである。右も左もわからなかったヨーロッパ当時と比べると、スタイルも固まっていて、少しは機転も効くようになっているはずだ、というのが、楽観的な理由である。言葉はまったく堪能ではないが、堪能でなくてもどうにでもなるということも体験済みだ。
 あとは土地勘だが、それは行ってみないことにはわからない部分が大きい。 
 今回もまた、行き当たりばったりの海外遠征になってしまうかもしれない。
 
 

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