今日、ストリートで演目をしていると、観客のひとりが、
「私はウェディングプランナーをしている者ですが」
と言ってきた。どうやら仕事を依頼しようとしているようだったが、長い話だったので、涼にはあまり理解ができない。依頼があるのはありがたいが、しかし涼がシドニーにいられるのもあと5日。
「どのあたりに住んでいるんですか?」
と聞かれたので、
「今月以外は日本です」
と涼は答えた。するとプランナーは残念そうに、
「そうですか」
と言う。去り際に、ポケットをまさぐり、
「シドニー人は、あまり小銭を持ち歩かないんだ」
と、5ドルのチップを入れてくれた。今後シドニーに住むことがあれば、そういう仕事もあるのかもしれない。


  また別の時には、
「僕もバスカー(パフォーマーのこと)なんです」
という親切な中国人が、
「バスキングするなら、あそこの交差点がいいよ。金曜土曜の夜は、ほろ酔いの客がチップをいっぱい入れてくれるんだ」
と、わかりやすい英語で教えてくれた。
  
  ときどきいいこともある。シドニーはいい場所である。