涼は清水寺へと赴いた。京都ナンバー1の観光地だ。観光客も多いはずだ。
  行ってみると、実際観光客は多かったが、道が狭すぎる。



  歩道もないので、いつ車が通るともわからない。



「全然ダメだー!!」
  涼は付近を数10分散策したが、広い道にはむしろ人がいない。道の広さと通行人の多さが反比例している。
「なぜ比例させない!Why not!」
  涼は自己中心的に、ひとり憤る。

  涼はまた行き場を失い、そして結局向かったのは奈良だった。
「何をやっているんだ、僕は」
  せっかく京都に宿を取っているのに、奈良に行かざるを得ない事情に涙目にもなる。
「むしろ神戸に向かうんだった」
  京都に、追加で2泊取ってしまったのが悔やまれる。
「神戸に取ればよかった」
  奈良では、少しはチップが入ったが、遅きに失した感は否めない。朝一で行ったのであればまだしも、ということだ。
「土曜日なのになぁ」
  先週、先々週同様、またしても週末を活かしきれないところに、不甲斐ない思いだ。