海外では、いつもスマホはローミングオフにしている涼だが、今回は、SMSショートメールだけをローミングで使おうと、そういう設定をしていた。
「文字だけだったら、データ量も大したことないだろう」
という考えのもとである。
  しかし、2日もすれば、電話会社から、利用料金が10000円を超えたという旨のショートメールが届いた。調べてみると、どうやら、ローミングをオンにすると定額契約になってしまうらしく、データ量とは無関係に、1日3000円ほどの利用料金が発生していることがわかった。
「苦労して手に入れた100ドルのチップが、まさか電話代に消えるとは…」
  涼はすぐにローミングをオフにした。
  意気消沈する涼だったが、しかし、10000円通知設定をしていたことはファインプレーだったようにも思えた。
「してなかったら、気付かずに、1ヶ月後に10万円の請求が来ていたかもしれない」
  それを想像すると、青ざめる思いとともに、最悪の事態を回避できたことに少しほっとしている涼だ。