「プロなんだから、アマチュアだと思われないように」
 つい先日、涼が先輩マジシャンから言われたことだが、涼の活動の中で、最もプロらしくないのが、このブログだろう。 
「芸能人とか職業人のブログで、こんな苦労話ばかりのとか見たことない」
 あまり成功していないことを大々的に書いているのだから、まずもってプロの所業とは思えぬところだ。
 ブログというものは、仕事の依頼が来ることを目的として書くものだが、このブログを見て、涼に依頼をしようとするクライアントがいるかどうか、 書いている身としても甚だ疑問である。
「だから、仕事取るには、ストリートとか居酒屋で、かな」
 そうも思うが、渡した名刺で検索してくれた結果ここに辿り着き、
「依頼しようと思ったけど、やっぱりやめた」
ということになることもあるかもしれない。
「とはいえ、このブログの趣旨はそうじゃないからなぁ」
 何もないところから、どうすればいいのかもわからないところから、ひとつの成功に辿り着くまでのサクセスストーリーを(サクセスすると仮定して)現在進行形で綴っていく、というのが当初の趣旨である。であるので、どちらかと言うと、クライアントよりも、マジシャンを目指す人々に向けて書いている部分が強い。
 マジックは夢を与えるものだと言われるが、マジシャンになる道もまた夢を与えるものでありたいと思い、涼はブログを綴る。
 もちろん、涼は小説家という側面も持っているので(マジシャンよりももっと成功から遠いが)、このブログをノンフィクション小説として読んでもらいたい、という気持ちもある。
「事実は小説よりも奇なりとは言うけど」
 しかし、小説のほうも力を入れて書いている。事実も奇であるし、小説も奇である、と涼の立場なら言いたいところである。
「ぜひ、小説のほうも買ってくださいね」








 
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