マジックを演じた後、
「タネを教えてください」
というのは、涼がよく言われることだ。
たまに、
「チップ2倍出すから!」
と交渉されたりもするが、タネの値段というのは、そんな小さな額ではない。涼の価値観としては、マジックの価値はチップ額の1000倍である。
ショーはエンターテイメントだが、タネはビジネスである、ということを知らねば、エンターテイメントの延長でタネが知れると思ってしまうことだろう。
マジックのタネは『お金を稼げる秘密』なのだ。
事実、涼が得てきたチップ額が、そのマジックの価値を証明してくれる。
そして、こうして涼がチップを得られている実情は、先人たちがマジックのタネの秘密を大切に扱ってきた結果であると、涼は感謝せずにはいられない。
マジックのタネが『お金を稼げる秘密』であるという考えは、実際にお金を稼いでみなければ実感がわかないものであると、涼は思う。
涼も、アマチュア時代は、それほどマジックのタネを大切に考えていなかったところがある。今でも、
「ひとつのテクニックをそれほどひた隠しにすることもないだろう」
と思う時もあるが、しかし、先人たちやマジック自体をリスペクトすると、どんな単純なトリックも、そうやすやすと言ってしまえるものではない。
もちろん、ビジネスとして、レクチャーの依頼などがあれば引き受けるつもりでいるし、一切タネを明かさないスタンスを保つというつもりではない。相手もタネを知っている前提で話すことも、よくあることだ。
しかし、そのビジネスの価値を下げないためにも、容易く秘密を暴露すべきではないところだろう。
カードはリスペクトしながら破る。タネはリスペクトしながら明かす。
その価値を十分に慮った上で。



コメント
コメント一覧 (8)
「タネを教えてください」はおろか「チップを倍出すから」などとんでもない話だ、と非手品人の私は思います。
いつも、タネなど分からないから、自分だけで悶々とするのは当たり前だ、として生きているのは私ぐらいなのかな。
観客の皆さん、結構攻撃的な生き方されとるのですねえ。
聞かれてもマジシャンは答えられないので、聞かずにいてもらえた方が流れに支障がなくてありがたいですね。
軽々しく種明かししてしまうことは、聞きたいけど聞くべきでない、と考えるマナー良き観客にも失礼なことであるので(聞きたい欲求を我慢した人が損するようだといけないですので)、僕はそういうマナー人のためにも、タネは明かしません。
タネを聞いて来るお客さんは、そこそこ多いですよ。
最高は1万円が入ることもありますよ。
チップは缶に入れてもらってます。盗まれたことはないですが、取られないように気をつけてはいます。
僕も一万円入ったこともありますけどねえもしチップ盗難防止をするならトランプケースをチップケース変わりに使ってみてはどうでしょうか?僕もチップ盗難防止にそれ使ってます機会があれはやってみて下さい
カードケースをチップ箱に、というのは古くからやってますよ。
いいと思います。
クライマックスで開けるときに宣伝をしています
演目とチップ箱を連携させるのはいいですね(^^)