執筆をしながら、涼は、
「うーん」
と悩ましげに唸る。あまりうまい文章が書けないのだ。
 第2作となる小説は、一度完成してはいるのだが、読み直してみると、大きく変更したくなるポイントがいくつか出てきた。
 そして、その変更を始めてみると、なかなか思うようには進まない。書いては消し、消しては書きで、1時間の作業で1行しか進まないこともよくある話だ。
「この話を今書いてしまうと、後で説明する話と重複するから……あー、ダメだー!」
 文章を書きながら、数ページ先をめくってみて、そしてまた数ページ戻った後に、さっき書いた文章を消す。その繰り返しだ。
「来月の出版に間に合うのかな」
 そういう心配も、そろそろ出て来るところだ。



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