涼はいつものように、太宰府の明太子店、福太郎の前でパフォーマンスを行なっていた。
  数週間前から、福太郎の入り口には求人広告が張ってあったのだが、涼は今日になってそのことを尋ねてみた。
「誰か辞めたりしたんですか?」
  すると、涼が驚く答えが返ってきた。
「そうなのよ、3人も」
「3人も!?」
  福太郎の店員はシフト制であるのだろう、涼が決まった曜日に行っても、店員の組み合わせが毎回違う。そして、涼が行くのは週末だけで、毎日通うわけではない。そういう理由で、しばらく顔を合わせない店員がいたとしても、
「シフトが合わないのだろう」
としか涼は思っていなかったので、辞めたと聞いたときには驚いた。それも3人も。
  ともかく、人数が減ってしまったというのは大変そうだった。最近、買い物客の行列が長かったのは、繁盛していたというよりは、店員が減って捌ききれなくなっていたのかもしれなかった。
「余計なお世話かもしれないけど」
  福太郎・太宰府店の求人が出ていたことだけはブログに書いておくことにした。
「ちなみに、従業員の方には、無料でマジック見せますよ」



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