水害とは無関係のことだが、今日、涼は身内の訃報を受けた。
 通夜と葬儀のため、明日の東京行きの飛行機をキャンセルし、14日の飛行機を取り直したまではよいが、それ以外にも変更事項が多く、いろいろと手が回らずにいる。

 ところで、今回の訃報は、涼の叔父であるのだが、まだ60代であった。 
 日本人の平均寿命は80歳を超えているだとか、そろそろ90歳になりつつあるだとか、そういう話をよく聞くが、過去に涼が出た葬儀を思い出すに、とても信じられないものがある。
 72歳で逝去した人物の葬儀に出たときに、まだ寿命には早いと悲しんだのだが、しかし涼の記憶に残る葬儀は、60代も多ければ、40代も30代もある。20代で他界した親戚もいれば10代で命を落とした同級生もいた。平均が80を超えるようには思えないのだった。もっとも、平均寿命という言葉の定義は、そういうことではないのだから、仕方がないといえばないのかもしれない。
 涼の祖母が94歳で永眠したときには、悲しさよりも、「よく生きた!」という晴れやかな葬儀になったものだが、長寿であればこそだっただろう。

 先ほど涼の自宅にお中元が届いたが、差し出し主は、その叔父であった。
 事実は小説より奇なり、というが、それはこういうところなのだろう。タイムカプセルが届いたような、感慨深いものを感じている涼である。




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