居酒屋のクロースアップマジシャンという職業は、歌手やお笑い芸人ほどではないにせよ、声を大切にする職業である。マジックの成立に声は関係ないが、チップが出るか出ないかには大いに関係するし、観客がマジックを見るかどうかにも大きく影響する。
  しかし、ときには喉を酷使するので、声が枯れることもある。
  それを気にして、涼はドラッグストアの薬剤師に、何かいいものはないか、と聞いてみた。
「それでしたら、響声破笛丸がいいですよ」
と薬剤師は答えた。
「きょうせいはてきがん??」
  なんだか、バトル漫画の必殺技のような名前に聞こえたが、涼は試してみることにした。





  3箱購入し、さっそく1包を飲んでみた。
「すぐにはわからないけど」
  しばらく続けてみる必要があるだろう。