涼の住むレオパレスの入り口にはオートロックのドアがついているのだが、そんなものは必要ないというのが涼の考えである(過去日記参照:http://blog.livedoor.jp/hiroki_ryoo/archives/72654534.html)
 つい先日のことだが、ロックの開錠システムが故障して、開錠操作を行ってもドアが開かないという事態に涼は遭遇した。オートロックのドアを開け放している住人がいることに不満を覚えていた涼だったが、この事態に遭って、なるほどそういうことだったのか、と思うようになった。外出して、帰宅したときに家に入れなくなる危険性があるのだから、ドアを開け放しておきたい気持ちが湧くのも当然である。
 この日、結局、涼は塀を乗り越えて自宅に戻ったわけだが、家賃を支払っている家主が帰宅するのに塀を登らねばならないことと、塀さえ登れば泥棒であっても同様にアパートに侵入できるという事実を確認できたことに、やや怒りを覚えた次第である。こんなものを設置するために、家賃が上がっていると思うと、いたたまれない気持ちにもなった。
 涼が帰宅するのは、いつも深夜であるので、その時間に故障していたら、いったい誰に修理を頼めばよいのかと、その日以来不安を抱えている。深夜1時に隣の部屋のインターフォンを鳴らし、
「夜分遅くすいません。隣に住む者なのですが、オートロックの開錠システムが壊れているみたいで入り口が開けられません。そちらから開いてもらっていいですか?」
などと、面識もないのに怪しい交渉をしなければならなくなるかもしれない。もっとも、それがダメなら塀を登って帰宅するということになるわけであるが。




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